● 心室から異常な速い電気信号が出る不整脈
心室頻拍は、心臓の下の部屋「心室」から異常な電気信号が繰り返し出て、心拍が異常に速くなる状態をいいます。
- 通常、心拍数は1分間に60〜100回程度ですが、心室頻拍では120回〜250回以上になることがあります
- 規則的な脈ですが、非常に速く、効率の悪い拍動になるため、心臓がうまく血液を送れなくなります
● 主な症状
- 強い動悸(胸がバクバク、脈が速すぎる感じ)
- 息切れ・胸の圧迫感・冷や汗
- めまい、ふらつき、失神
- 場合によっては、命に関わる重症の状態(心停止・突然死)に進展することもあります
● 原因
心室頻拍の原因は大きく分けて2つあります:
① 心臓病に伴うもの(構造的心疾患あり)
- 心筋梗塞のあと(心筋の傷跡が電気の通り道になる)
- 拡張型心筋症、肥大型心筋症など各種心筋症
- 弁膜症や心臓手術後など
② 特に心臓病のない場合(構造的心疾患なし)
- 一部の人では明らかな心臓病がなくても心室頻拍が起こることがあります(特発性)
- 心室期外収縮が連発して心室頻拍になることもあります
● 診断方法
- ホルター心電図:発作の頻度や症状との一致性を確認
- 心エコー検査:心臓に病気があるかを調べる
- 必要に応じて:心臓MRI、心臓カテーテル検査、植え込み型心電計など
● 治療方針
● 1. 薬物療法(抗不整脈薬)
- 心室頻拍を抑えるために薬を使います(アミオダロンなど)
- ただし、効果には限界があり、副作用も出やすいことがあります
● 2. カテーテルアブレーション治療
- 足の付け根からカテーテルを挿入し、異常な電気の出どころを焼き切る治療
- 心室頻拍の起源がはっきりしていて、頻度が多い・症状が強い・薬で抑えられない場合に有効
- 成功率は高く、再発を防げる可能性もあります
● 3. ICD(植込み型除細動器)
- 心室頻拍が命に関わるリスクのある場合、植込み型除細動器 (ICD)(心臓に植え込む電気ショック装置)を入れることが推奨されます
- 心室頻拍や心室細動が起こった際に、自動で電気ショックを与え、命を救う役割をします
- 心筋梗塞後や心筋症で心機能が低い方に適応されることが多いです
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