● 心臓の動きを「タイミングよくそろえる」治療です
通常、心臓は右心室と左心室が同時にリズムよく動くことで、効率よく血液を送り出しています。
しかし、心不全の一部の方では心室の動きがバラバラになり、心臓のポンプ機能が落ちてしまうことがあります。そのような方に対して、右心室と左心室に電気刺激を同時に送って「動きをそろえる」治療が、心室再同期療法(CRT)です。
● 適応
- 心室の収縮タイミングがずれていると診断された方
- 心不全の症状があり、薬だけでは改善が難しい方
- 心電図で「左脚ブロック(LBBB)」などの異常がある
- 左心室の収縮力(EF)が低下している(例:EF ≦ 35%)
● 治療の方法
- 小さな機械(CRT本体)を鎖骨の下に植え込みます
- 通常心臓の右心房・右心室・左心室に電線(リード)を通します(3本)
- 電気刺激により左右の心室を同時に動かすことで、心臓全体の動きを改善します
● 期待される効果
- 心臓の収縮効率が良くなる
- 息切れ・むくみ・疲れやすさなど心不全の症状が改善
- 入院回数の減少、命にかかわるリスクの低下
- 一部の方では、心機能が大幅に回復することもあります
● CRTとICDを組み合わせた治療もあります(CRT-D)
- 心不全がある方は、心室細動などの致死的な不整脈を起こすリスクもあるためCRTに除細動機能を追加した装置(CRT-D)が使われることがあります
- 心臓の動きを整えながら、突然死も予防できるハイブリッド治療です
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