リード・デバイス抜去術

● 体に埋め込まれているペースメーカーやICDの機械・リード(電線)を取り外す治療です

通常、ペースメーカーやICDは長期間安全に使用できますが、以下のような場合には、本体やリードを取り出す(抜去)治療が必要になります。

● なぜ取り出すの?

主な理由は以下の通りです:

  1. 感染症(デバイス感染)
    → 傷口の腫れ、膿、発熱など。感染を完全に治すためには抜去が必須です
  2. リードの故障や断線
    → リードの動作不良や電気が正しく伝わらない場合
  3. 不整脈のタイプが変わった、デバイスが不要になった
    → 心機能が回復した、または別の治療に切り替えた場合
  4. リードの位置が悪く、症状や合併症を起こしている

● どうやって抜去するの?

  • 専用の器具(シース)を使い、心臓や血管から慎重にリードを取り出します
  • 通常は鎖骨下の傷口から行い、全身麻酔または鎮静下で実施
  • リードが長期間体内にあると、心臓や血管の壁に癒着しているため、専門的な技術が必要です

主な方法:

  • 単純牽引(引っ張って抜く:比較的新しいリード)
  • レーザーシースや機械式シースで癒着を剥がしながら抜去(古いリード)

● 治療のリスクと対策

  • 血管損傷、心タンポナーデ、出血などのリスクがあります(頻度は低い)
  • 古いリードや脆いリード、若年で植え込んだリードなどは抜去することが難しい場合があります
  • そのため、緊急手術に対応できる専門施設で行うのが原則です
  • 必要に応じて、一時的なペーシングや、新しいデバイスの再植込みを行います

● 抜去後の対応

  • 感染が治まってから、新しいデバイスを再度植え込むこともあります
  • 抜去後、デバイスなしで経過観察する場合もあります(症状や心機能による)

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